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末廣 一彦 (スエヒロ カズヒコ)
| 理学研究院 物理学部門 非線形物理学分野 | 講師 |
研究者基本情報
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J-Global ID■ 研究キーワード・分野
研究キーワード
- 超対称性
- 超弦理論
- インスタントン
- チャーン・サイモン理論
- 非可換ゲージ理論
- 弱アイソスピン
- シュヴィンガー・ダイソン方程式
- 電弱対称性
- 自発的対称性の破れ
- アノマリー媒介機構
- タキオン凝縮
- 補助場
- ディーブレイン
- 複合模型
- 無限階質量殻上既約性
- チャーン・サイモン
- 弦場理論
- 量子ホール効果
- 弦理論
- CPの破れ
- チャーン・サイモン項
- 格子重力
- 負の圧縮率をもつ量子ホールガス
- ハゲドロン温度と宇宙初期
- 時間反転不変性の破れ
- チャーン・サイモン重力理論
- ニュートリノ
- チャーン・サイモン作用
研究活動情報
■ 論文- NONPOLYNOMIAL CLOSED STRING FIELD-THEORY - ACTION AND ITS GAUGE-INVARIANCE
T KUGO; K SUEHIRO
NUCLEAR PHYSICS B, 337, 2, 434, 466, 1990年06月, [査読有り], [責任著者]
英語, 研究論文(学術雑誌)
- CRITICAL INSTABILITY AS AN ORIGIN OF LARGE ISOSPIN BREAKING
M BANDO; T KUGO; K SUEHIRO, PROGRESS OF THEORETICAL PHYSICS, 85, 6, 1299, 1315, 1991年06月
英語
■ 主な担当授業
- 場の理論2, 2024年, 修士課程, 理学院
- 宇宙理学特別講義1, 2024年, 修士課程, 理学院
- 宇宙理学特別講義2, 2024年, 修士課程, 理学院
- 力学Ⅰ, 2024年, 学士課程, 理学部
- 力学演習Ⅰ, 2024年, 学士課程, 理学部
- 物理学特別講義, 2024年, 学士課程, 理学部
- 物理学特別講義A, 2024年, 学士課程, 理学部
- 超対称ゲージ理論と精密測定の物理
科学研究費助成事業
2004年 - 2009年
石川 健三; 鈴木 久男; 末廣 一彦; 前田 展希; 土橋 卓; 堀田 健司; 飛田 豊; 佐野 正和
高エネルギー物理学における"精密測定の物理"と"超対称ゲージ理論"の力学的性質が明らかになった。これらの応用として、素粒子反応において運動量と位置を共に観測する振幅が波束により求まり、応用された。また、超対称場の理論の諸性質が、明らかになった。
日本学術振興会, 特定領域研究, 北海道大学, 16081201 - 超対称ゲージ理論におけるインスタントン計算と非摂動量子補正効果
科学研究費助成事業
2000年 - 2001年
末廣 一彦
第一の研究課題として、超対称ゲージ理論におけるインスタントン計算の研究を行った。対称相とヒッグス相で計算する2つの手法で、結果が定性的には一致するが定量的な数係数には相違が見られる問題に着目した。特に、ゲージ対称性が完全に破れず、対称相とヒッグス相が混在する中間的な場合を取り上げた。その結果、ヒッグス相における計算から非結合化の手法を用いて計算する結果は、ゲージ対象性の一部が対称相にとどまっていることを反映し、直接的計算を行う場合とは異なる結果が得られることが具体的模型において確認できた。研究課題としてはこの計算のプロセスを通じて2つの手法による結果の差異の原因を明らかにすることも目的としていた。この点については明確な結論には至っていないが、いくつかの手がかりを得ることができた。
今年度におけるもうひとつの研究は、弦理論におけるタキオン凝縮による相転移を弦の場の理論を通じて解析する研究である。弦理論においてはタキオンの存在により真空が不安定となる場合が多数知られている。特に、ボゾニック弦の理論においては開弦のタキオンモードの凝縮によりディーブレインが消滅し、閉弦のみが存在する真の真空に転移すると考えられている。今年度はこの真の真空上の場の理論により解析を行おうとする真空弦場理論の手法による研究を行った。特に、理論の正則な定義とその古典解を解析的に得ることを目指したが、その過程で頂点関数の関与する演算の非結合性が重要な役割を果たすことが判明した。そこで、その代数的構造を調べ、一定の範囲で構造を明らかにした。
日本学術振興会, 奨励研究(A), 北海道大学, 12740129 - 量子場の相とCPの破れ
科学研究費助成事業
2000年 - 2000年
石川 健三; 末廣 一彦; 鈴木 久男
完全に縮退した一粒子状態からなる極めて特異な量子的な物理系である量子ホール系での諸問題,空間反転や時間反転を破る凝縮系物理,超対称ゲージ理論、ニュートリノ振動,並びにブラックホール等について次の成果がえられた。
(1)整数量子ホール効果の量子化が縦抵抗が有限な値をとる時にも成立する新しい量子ホール領域が存在することが示された。
(2)量子ホール系での圧縮性ガス状態が、量子ホール系では運動エネルギーが相互作用から生ずるものであるため、負の圧縮率をもつ特異な状態であることが示された。さらに、この状態を流れる電流はトンネル効果により生ずるため特異な温度依存性、電流依存性を示す実験結果とも合致することがしめされた。
(3)非可換座標を持つ場の理論としての量子ホールガスの特異な性質が解明された。
(4)時間や空間の反転に対して不変でない超伝導では量子ホール系と同様に電磁場に対するChern-Simons項が導かれる。この際、磁場の代わりをp波のCooper対凝縮がし、またU(1)対称性が破れているためChern-Simons項の係数には補正があること等について解明された。
(5)場の理論に基ずいてニュートリノが中間状態にあるとするニュートリノ振動の新しい解析が行われた。
(6)ブラックホールの吸収係数に関する解析的な研究をおこない、ブラックホールからのさまざまなスピンを持つ粒子の波動関数を解析し、宇宙項のある場合のブラックホール解での波動関数は、宇宙項のない場合に比べて解析的性質が良くわかることを示した。
日本学術振興会, 特定領域研究(A), 北海道大学, 12014201 - 量子場の相とCPの破れ
科学研究費助成事業
1999年 - 1999年
石川 健三; 末廣 一彦; 鈴木 久男
完全に縮退した一粒子状態からなる極めて特異な量子的な物質系である量子ホール系での諸問題並びに関連する空間反転や時間反転を破る凝縮系物理について次の成果がえられた。
(1)整数量子ホール効果の量子化が有限サイズや有限電流の系でも強磁場中では厳密に成立し有限サイズ補正が消失すること、電流が小さいときには量子化が厳密に成立する量子ホール領域があること、電流が大きくなると量子ホール領域が消失する"breakdown"現象が起きること、この際の臨界ホール電場は磁場の1。5乗に比例すること、等が示された。また周期系についての双対性やtight-binding模型との関連が解明された。
(2)量子ホール系での圧縮性ガス状態が、量子ホール系では運動エネルギーが相互作用から生ずるものであるため、負の圧縮率をもつ特異な状態であることが示された。さらにその結果縦抵抗が有限な値をとる時にもホール抵抗の厳密な量子化が起こることがしめされた。
(3)また分数量子ホール効果について、相互作用によりfluxが凝縮し、Hofstadterのbutterflyスペクトルと同様なものになる一粒状態を持つflux相に基ずく新しい平均場理論が提案された。この意味で、Hofstadterのbutterflyスペクトルと分数量子ホール効果の関連が初めて明らかにされた。
(4)時間や空間の反転に対して不変でない超伝導では量子ホール系と同様に電磁場に対するChern-Simons項が導かれる。この際、磁場の代わりをp波のCooper対凝縮がし、またU(1)対称性が破れているためChern-Simons項の係数には補正があること等について解明された。
日本学術振興会, 特定領域研究(A), 北海道大学, 11127201 - 超対称非可換ゲージ理論におけるスカラー物質場と自発的対称性の破れ
科学研究費助成事業
1998年 - 1999年
末廣 一彦
本年度に実施を計画した研究のひとつは一般化されたチャーン・サイモン理論の性質の解明であった。これに関しては、まず昨年度までの研究で偶数次元の場合の量子化に成功していたので、本年度は奇数次元の場合の量子化についての研究を行った。その結果、基本的な代数構造の共通性により、奇数次元の場合でも無限階質量殻上既約の性質に応じた量子化できることが分かり、スカラー場の凝縮が一般化されたチャーン・サイモン理論の量子論的性質を大きく左右することも確認してきた。また、スカラー場の凝縮の有無が理論の位相的性質を変えるという事情は、特殊な形での正則性条件の破れと関係するという他に例を見ない構造となっていることが明らかになった。この点に留意して理論の量子論的性質を解明することは今後の研究課題となる。
本年度にもうひとつ計画した研究は、SU(N)及びSO(N)の超対称ゲージ理論について大局的対称性とゲージ対称性の真空中での実現においてスカラー場の果たす役割を明らかにすることであったが、残念ながらこれに関しては投稿論文にまとめる形での研究成果を得ることはできなかった。しかし、この研究を遂行する中で、超対称ゲージ理論を低エネルギー有効理論として包含する超弦の場の理論の観点から超対称ゲージ理論の性質を解析する可能性についての知見を得た。今後はこの知見を生かし、超弦の場の理論の観点から超対称ゲージ理論の性質についての研究をすすめたい。
日本学術振興会, 奨励研究(A), 北海道大学, 10740104 - 低次元場の理論とその応用
科学研究費助成事業
1998年 - 1999年
石川 健三; 鈴木 久男; 中山 隆一; 河本 昇; 末廣 一彦; JACKIW Roman; WIEGMANN Pau; 細谷 裕
低次元場の理論の研究とその応用をテーマとする本研究では、量子ホール効果の場の理論、重力の量子論並びに弦の量子論が中心的課題として取り上げられた。これら物理学の基本的諸問題に関する多方面にわたる研究が展開され、以下の成果があげられた
(1)極めて特異な量子的な物理現象である量子ホール効果の厳密性に関して、ホール系のガス状態が負の圧縮率を持つことが示され、さらにこのことより縦抵抗が有限な値をとる現実の実験状況下でもホール抵抗の値が厳密に量子化されることがしめされた。また、量子的な多体効果が重要な働きをしている分数量子ホール諸問題について、空間の対称性を最大限に保つvon Neumann格子表現を使い、相互作用によりfluxが凝縮し、Hofstadterのbutterflyスペクトルと同様なものになる一粒子状態を持つflux相に基ずく新しい平均場理論が提案された。この意味で、Hofstadterのbutterflyスペクトルと分数量子ホール効果の関連が初めて明らかにされた。
(2)時間や空間の反転に関する不変性を破る超伝導では量子ホール系と同様に電磁場に対するChern-Simons項が導かれる。磁場の役割をp波のCooper対凝縮がし、u(1)対称性が破れているときのChern-Simons項の係数には補正があること等について解明された。
(3)任意次元に一般化された偶数次元のChern-Simons作用が無限階質量殻上既約という極めて特殊なゲージ対称性の構造を持つ理論であることが示されまたこの理論の量子化に成功した。
(4)3次元Chern-Simons重力と4次元BF理論を格子上にのせる試みに成功した。
(5)ストリング理論におけるD-Particleの有効理論のコンフォーマル対称性が示され、またハミルトンーヤコービ方程式を用いたストリングの新しい定式化にせいこうした。
(5)超弦理論について、その相転移がヒッグス場による対称性の破れと解釈できる相転移点まわりでの物理量の計算について、定量的に解析する技術の開発に成功した。
(6)量子情報理論における量子的絡み合い状態についてのエントロピーの持つ関係式の導出に成功した。
日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 10044043 - 量子場の相とCPの破れ
科学研究費助成事業
1998年 - 1998年
石川 健三; 末廣 一彦; 鈴木 久男
量子場の相の解析並びに相との関連でcpの破れを研究するのが本計画の目的であるが、特に量子ホール効果、cpを破る超伝導・超流動、超対称ゲージ理論における臨界点上での物理に関して今年度次の成果が上がった。
(1) 量子ホール効果
von Neumann格子表現を使うことより量子ホール系に周期ポテンシャルがある時のスペクトル、その双対性、並びにホール伝導度のトポロジカル不変な表示が得られた。また、量子ホール効果の“breakdown"現象の解明、等がなされた。
(2) 空間反転・時間反転対称性を破る超伝導・超流動で電磁ベクトル
ポテンシャルに対するチャーン・サイモン項が導かれること、並びにその係数はトポロジカル不変な項に加えてNambu-Goldstoneモードからの補正を受けてでてくるトポロジカル不変でない項からなること。
(3) 偶数次元チャーン・サイモン理論の量子化
偶数次元チャーン・サイモン理論の量子化が2次元理論で詳しく解析され、無限にreducibleなゲージ理論として量子化がなされた。
(4)2次元量子重力理論の力学的性質が単体分割での表示により求められた。
(5)N=2超対称ゲージ理論の弱結合領域での性質や特異点近傍での性質が解明された。
日本学術振興会, 特定領域研究(A), 北海道大学, 10140201 - 量子場の相とCPの破れ
科学研究費助成事業
1997年 - 1997年
石川 健三; 末廣 一彦; 鈴木 久男
研究実績の概要
無限多粒子系では複数の相異なる相が存在することが多くそれらの相の性質や相の間の転移を解明することが重要な課題である。相の持つ性質は、その対称性により分類される。対称性の一つとして、時間反転に対する不変性がある。時間反転に対する不変性が破れた時、不変性を保つ物理系とは異なる性質を示す。この性質解明には、演算子として次元の低い、低エネルギー領域で重要な働きをするChern-Simons項が重要な働きをする。本研究では、特にChern-Simons項に関連した量子場の相の諸性質の解明、CPの破れ、並びにCPの破れた相の性質解明の研究を行ない、次に挙げる点について理解が進展した。
1。凝縮系を含む広範囲にわたる物理系での時間反転不変性を破る物理現象で重要な働きをしているChern-Simons項に関して、Chern-Simons項の導出、性質解明が進み、また関連する物理として、量子ホール効果、超流動ヘリウム他等に関しての理解が進展した。
2。Chern-Simonsゲージ理論の偶数次元への拡張と時空2次元理論での量子化並びに重力理論への応用の議論がなされた。一般化されたChern-Simonsゲージ理論の代数が無限回既約であることがしめされた。
3。共形不変な点近傍における強結合相での特殊な超対称ゲージ場の性質ならびに超弦理論の性質の理解が進展した。共形不変な点近傍において成立する微分方程式とその解より物理量を構成する方法が解明された。
日本学術振興会, 重点領域研究, 北海道大学, 09246201 - 対称性の力学的破れと統一理論
科学研究費助成事業
1995年 - 1997年
九後 太一; 青木 健一; 原田 恒司; 坂東 昌子; 鈴木 博; 菅本 晶夫; 矢彦沢 茂明; 加藤 光裕; 風間 洋一; 末廣 一彦; 国友 浩; 栗本 猛; 金杉 弘隆; 石川 健三
平成7〜9年度の三年間にわたる本研究の研究成果は多岐にわたっている。詳細は研究成果報告書にゆずり、ここでは、主な分担者の主なものについてごく簡単に触れる。
1.対称性のダイナミカルな自発的破れや力学的破れに基づく統一理論の分野:青木健一は、gauged NJL模型に対してWilson流くりこみ群方程式を用いて解析する方法を開発し、従来の東島-Miranskyの改善された梯子近似を超える近似法を与えた。坂東は、ゲージ粒子がダイナミカルに生成される可能性を考察し、現在の標準模型や統一模型とどう関連しているかを調べた。原田は、光円錐上で量子化した場の理論の諸問題を研究した。鈴木博は、格子上でのカイラルなフェルミオンのゲージ共変な取り扱いとして、連続理論での共変正則化の考え方を応用した定式化を提案した。九後は、gauge-Higgs-Yukawa系に対し、どのような場合にnon-trivialになるのかをくりこみ群を用いて解析し、理論の満たすべき条件を明らかにした。中野は、アノマラスU(1)ゲージ対称性に基づく超対称性の力学的破れについて総括した。末廣は、一般次元に拡張されたChern-Simons理論の量子化を行った。菅本は、B中間子の崩壊に関する問題や、中性子の電気双極子能率と宇宙のバリオン生成を研究した。
2.超対称ゲージ理論や弦理論におけるdualityや非摂動論的ダイナミックスの分野:加藤は、時空の非可換性を出発点にして弦理論の非摂動的な定義を与える一つの試みを提唱した。
風間は、有限の質量を持つ量子化されたD粒子同士の散乱振幅を初めて計算した。国友は、I型超弦理論におけるD5-braneの基底状態を記述する位相的場の理論を構成し、D5-braneの第2量子化について考察した。松尾は、String JunctionのBPS条件の簡単な導出をM理論の立場から行い、DブレインのBPS状態の質量公式をあからさまに計算しU双対性を検証した。矢彦沢は、相対論的場の理論におけるストリング状のVortexの有効作用を組織的に計算した。
日本学術振興会, 基盤研究(A), 京都大学, 07304029 - 量子重力及び物性理論への場の理論の応用
科学研究費助成事業
1995年 - 1996年
河本 昇; DAMGAARD Pou; PETERSEN Jen; NIELSEN Holg; OLESEN Poul; AMBJORN Jan; 末廣 一彦; 鈴木 久男; 中山 隆一; 石川 健三; PETERSEIN Je; ULESEN Poul
別紙のように平成7年度には、北大サイドから、中山隆一、石川健三、河本昇の3氏がコペンハーゲンのニールス・ボ-ア研究所に滞在し色々な議論を行い、ニールス・ボ-ア研究所からは、Jan AmbjornとPoul Olesenの2氏が、北大の素粒子論研究室に滞在し、共同研究及び専門的な研究交流に向けての非常に活発な議論が行われた。また平成8年度には、北大サイドから、石川健三、末広一彦、河本昇、鈴木久男の4氏がコペンハーゲンのニールス・ボ-ア研究所に滞在し共同研究及び、色々な議論を行い、ニールス・ボ-ア研究所からは、JensLyng Petersen,Holger Bek NielsenとPoul Hendrick Damgaardの3氏が、北大の素粒子論研究室に滞在し、共同研究の議論を含め非常に有効な議論が行われた。その結果次にあげるような、国際的な共同研究或いは研究交流に対して、色々な成果が得られた。
河本はAmbjornが北大に来た折りに下記に述べる、量子重力理論の数値計算に対しての共同研究の提案を行った。その結果河本が、平成7年度末の3月と8年度11月にニールス・ボ-ア研究所に滞在した折、及びその間或いはその後共同研究が進行した。この共同研究は、2次元のダイナミカルな格子による量子重力理論の研究でc=-2の模型に対しての数値計算を有限サイズスケーリングの観点から見直すことを主眼としたものである。この研究の元々の出発点は、河本等によって始められた、c=-2の数値計算のアルゴリズムを用い、Ambjorn等によって始められた、有限サイズスケーリングの方法を取り入れて、更に精度の高い数値計算による結果を得ることを、目的とした。その結果これまで与えられた、2次元の量子重力の数値計算としては、最高精度を与える計算結果が得られた。またその過程で、格子重力理論に於ける、連続極限の取り方に対しての新たな知見が得られ、理論計算とうまく合うことも示された。その結果は、レター形式の論文として出版予定であり、現在詳しい内容の論文を制作中である。
河本はまた、北大の学生及びH.B.Nielsen氏とAshtekar形式の重力理論の格子化に対して、共同研究を始め11月にニールス・ボ-ア研究所を訪問した際にはこの点に関しての集中した議論を行った。この問題に関しては、大まかの枠組みの定式化が出来たが、現在進行化のプロジェクトである。
その他、河本、末広及び北大の学生を含めたグループは、河本-綿引によって提案された、任意次元に拡張されたChern-Simons作用の量子化の問題に取り組み、それに成功した。これらの点に関しては、P.H.Damgaard氏の専門領域でもあり、色々な有意義な議論をする事もできた。アベリアンの場合は既に成功して、論文として出版中であり、非アベリアンの場合は、infinitely reducibleな系の量子化に対応しているという面白い結果を得、論文として現在投稿中である。
中山氏は平成7年の夏及び平成8年3月にそれぞれ1カ月ずつニールス・ボ-ア研究所に滞在した折、又Ambjorn氏が札幌に来た折に量子重力の種類の問題を議論し、物質場が入った場合のフラクタル次元の解析的な計算等の問題に対しての共同研究を行い論文にまとめた。その他に格子化した量子重力理論に対して、種種の研究を行っており、それ等の成果はこの間の研究成果として論文にまとめられている。
石川氏は量子ホール効果の研究を中心に研究を行っており、ニールス・ボ-ア研究所滞在中に、Alan Luther氏と物性理論の場の理論からの解釈に対して幅広い議論を行った。また北大を中心としたポストドックレベルの研究者との共同研究を行っており、色々な成果を上げている。
鈴木氏は平成8年度末にニールス・ボ-ア研究所に滞在しており彼の進めている、超対象性を持った場の理論の、非摂動効果に対する厳密解の研究に関しての議論を積極的に進めている。ニールス・ボ-ア研究所には、P.di Vecchiaを中心とした、グループがこの問題に積極的に取り組んでおり、活発な研究交流が期待される。鈴木氏個人のこの問題に対する成果は既に色々あり、別紙に与えられている。
またニールス・ボ-ア研究所かから来た、研究者はこちらに来て北大の研究室に対して、色々な貢献をした。それぞれの研究者は、講義形式でのセミナーを行い学生に大いに有益な知識を与えた。
日本学術振興会, 国際学術研究, 北海道大学, 07044048 - 弱アイソスピンの破れの起源
科学研究費助成事業
1993年 - 1993年
末廣 一彦
電荷2/3のクォークと電荷-1/3のクォークの質量の間に階層性が存在するために生じる弱アイソスピンの破れの起源が複合模型にあるものとして、標準模型を越える理論の可能性について研究を行った。これに関する今年度の具体的成果は以下の通りであり、現在論文投稿準備中である。
複合模型に基づいて電弱対称性の破れを実現するためには、強い相互作用のダイナミクスを解き、束縛状態として現れるヒッグス粒子が真空中で凝縮することを示さなければならない。このような解析を行う手法としては主に二つの方法が一般的に用いられる。一つは補助場としてヒッグス粒子を導入し、それに対する有効ポテンシャルを求める方法で、もう一つはカイラル対称性の破れを伴う場合に有効な方法でフェルミオン自己エネルギーに対するシュヴィンガー・ダイソン方程式の非自明解を解析する方法である。
弱アイソスピンの大きな破れを自然に説明する機構として提唱した「臨界不安定性機構」を実現する最も容易な模型は、強い相互作用として四体フェルミ相互作用を導入するものである。ところが、最近このような型の模型の中に、上の二つの解析法が両立せず矛盾が生ずるような模型が存在することが指摘された。これは臨界不安定性機構を採用した現象論的に有効な模型を議論する上で問題となるところである。そこで、今年度に於いては、この点の解決を目指した。結果として、解析方法を改善する事により指摘されたような矛盾は避けられることを明らかにした。
今後はこの点を踏まえ、現象論的に有効な模型の完成をめざす計画である。
日本学術振興会, 奨励研究(A), 北海道大学, 05740164 - Chern-Simonsゲージ理論による超伝導及び分数量子ホール効果の研究
科学研究費助成事業
1991年 - 1993年
石川 健三; 末廣 一彦
本年度、前年度の研究の継続が行なわれた。強相関係においてbi-localな補助場による平均場理論が前年度に展開され、本年度さらに、この方法に基づく非線型励起(ソリトン)である渦解の解析がなされると共に、この方法の妥当性が一次元系で調べられた。これより、以下の事柄が明らかになった。
(i)平均場近似で求められた磁場中の2次元系における渦は磁場Bに依存するエネルギーをもつ。
(ii)電気的に中性の渦や、正電荷叉は負電荷を滞びた渦がある。電荷は整数値からずれる。
(iii)bi-localな補助場による平均場近似は、基底状態のエネルギーについて、大体正しいエネルギーを与える。
(iv)相関関数についても、定性的には良い近似となっている。
(iii)や(iv)の結果は、基底状態の厳密解が既に知られている一次元1/γ^2ポテンシャル系において得られた。
日本学術振興会, 一般研究(C), 北海道大学, 03640256
