佐藤 信一郎 (サトウ シンイチロウ)

工学研究院 応用化学部門 分子機能化学分野准教授

研究者基本情報

■ 学位
  • 博士(理学), 東北大学
■ URL
researchmap URLホームページURL■ ID 各種
J-Global ID■ 研究キーワード・分野
研究キーワード
  • 計算化学
  • 高分子希薄溶液のダイナミクス
  • 量子化学
  • レーザー光化学
  • 物理化学
研究分野
  • 自然科学一般, 生物物理、化学物理、ソフトマターの物理
  • ナノテク・材料, 基礎物理化学
■ 担当教育組織

経歴

■ 経歴
委員歴
  • 2021年09月
    分子科学討論会, 世話人, 学協会
  • 2011年
    分子科学会, 世話人, 学協会
  • 2006年
    分光学会, 北海道支部学生シンポジウム世話人, 学協会

研究活動情報

■ 論文
■ その他活動・業績
■ 書籍等出版物
  • Coherence and Ultrashort Pulsed Laser Emission
    INTECH, 2010年
■ 主な担当授業
  • 分子物理化学特論, 2024年, 修士課程, 工学院
  • 分子物理化学特論, 2024年, 修士課程, 総合化学院
  • 大学院共通授業科目(一般科目):自然科学・応用科学, 2024年, 修士課程, 大学院共通科目
  • 分子物理化学特論, 2024年, 博士後期課程, 工学院
  • 分子材料化学, 2024年, 学士課程, 工学部
  • 量子化学Ⅱ, 2024年, 学士課程, 工学部
  • 応用化学学生実験Ⅰ, 2024年, 学士課程, 工学部
■ 所属学協会
  • 応用物理学会
  • 分子科学会
  • 日本化学会
■ 共同研究・競争的資金等の研究課題
  • 金ナノ粒子の表面デザインを駆使したプロテインコロナの光制御法の開発
    科学研究費助成事業
    2022年06月30日 - 2025年03月31日
    三友 秀之; 佐藤 信一郎
    本研究では、高い光機能性と生体適合性を有する金ナノ粒子を用いたナノ粒子医療の開発に取り組んでいる。ナノ粒子医療においては、粒子が血中を安定に滞留し、対象とする疾患部位に特異的に作用するターゲット能が重要である。しかし、一般的に、ナノ粒子が血中に投与されると粒子の表面に様々なタンパク質が吸着してプロテインコロナを形成し、マクロファージに認識されて排除されたり、目的細胞へのターゲット能が失われたりする。このような課題に対し、これまで吸着性を低減するための表面デザインが検討されてきた。本研究では、一歩進んだ“プロテインコロナを制御する手法”の開発を目指し、粒子の表面デザインについて検討を進めている。具体的には、自身のタンパク質が吸着することで粒子の凝集体形成を抑制し、かつ免疫システムから異物として認識されないようにしながらも、マクロファージが認識するようなタンパク質は吸着せず、さらには、特定の部位に到着した際には光刺激によってターゲット能を発揮できるナノ粒子の創製を目指している。
    令和4年度は、研究代表者が開発してきた温度応答性を付与する表面被覆分子による機能化を拡張し、よりオリゴエチレングリコール分子鎖が長い分子と混合することで、粒子表面へのタンパク質の吸着性を制御できることを新たに発見した。また、オリゴエチレングリコールが長い分子と混合したことによって応答温度が上昇することが確認されたが、適切な応答温度への再設定も達成した。つまり、体温付近での鋭敏な温度応答性を維持しながら、タンパク質の吸着性を制御可能な表面デザインを見いだした。結果として、血清をいれた細胞培養液中において、血清タンパク質の吸着による粒子の分散安定化と温度変化に応答した粒子の集合化を両立できることがあきらかになった。
    日本学術振興会, 挑戦的研究(萌芽), 北海道大学, 22K19929
  • 揺らぎ制御可能な自己組織化超分子系の探索とその制御メカニズムの解明
    科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    2017年04月01日 - 2022年03月31日
    佐藤 信一郎
    (1)平成30年度の研究において、モノカルボニルポルフィリン(Por-COOR)(R=H or CH3)2個とフラーレンからなる自己組織化についてMDシミュレーションしたところ、(Por-COOR πスタックダイマー+フラーレン)タイプの安定構造は得られず、フラーレンを2個のPor-COORが挟み込むサンドイッチ型構造のみが熱力学的に安定となった。本研究の目的はPor-COORπスタックダイマーの揺らぎが光電子移動に与える影響を探ることであるため、サンドイッチ型構造は研究目的にはそぐわない。そこで今年度は、強制的にπスタック構造にする目的で二つのポルフィリンを1本のアルキル鎖で連結したlinear-(Por-COOR)2と2本のアルキル鎖で連結したcyclic-(Por-COOR)2のそれぞれについて、フラーレン非存在下および存在下の2条件で、熱力学的安定構造のアルキル鎖長依存性についてMDシミュレーションによりスクリーニング調査をおこなった。面白いことに、連結系においても、非連結系と同様に、R=HとR=CH3で熱力学的安定性に違いが見いだされた。(例えば、フラーレン非存在下ではR=Hの時、メチレン鎖長が5(n=5)R=CH3の時 n=6で安定化するが安定性はR=H、n=5のほうが上であった。)また、意外なことに、直鎖連結と環状連結で比較すると、直鎖連結のほうが安定性が高い結果も得られた。しかしながら、フラーレン存在下では、直鎖連結では安定なπスタッキング構造は得られず、環状連結のみ安定なπスタッキング構造が得られた(n=6, 7)この構造を詳細に観察するとR=Hにおいて二つのポルフィリン環の平行性が高く、光照射時に二つのポルフィリン環に非局在化した励起状態からフラーレンへの電子移動状態がTDFT計算により観測された。
    (2)ASCOTの導入とテストを実施した。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 17K05025
  • ダブルパルスインパルシブ共鳴ラマン励起による分子振動制御
    科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    2012年04月01日 - 2016年03月31日
    佐藤 信一郎; 木場 隆之
    化学反応のコヒーレント制御や、分子の電子・振動状態を量子ビットとして用いた量子コンピューティングなど、超短レーザーパルスを用いて原子・分子の波動関数を直接制御しようとする試みがなされている。これらの量子制御を実現するにあたって、原子分子の波動関数がどれだけ長い間コヒーレンス(可干渉性)を保持できるかが重要となる。量子制御を可能とする第一条件としてデコヒーレンスの抑制がある。そこで本研究ではデコヒーレンスの要因となる溶質-溶媒間相互作用のゆらぎのメカニズムについて実験および計算化学的に追及した。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 24550004
  • シクロデキストリン包接による電子位相緩和抑制
    科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    2008年 - 2010年
    佐藤 信一郎
    超分子ナノ空間内への分子の包接現象をデコヒーレンス抑制の手段として確立させ、凝縮系における分子波動関数の量子制御の効率化を図ることが本提案のねらいである。近年、化学反応のコヒーレント制御や、分子の電子・振動状態を量子ビットとして用いた量子コンピューティングなど、超短パルスレーザーを用いて原子分子の波動関数を直接制御しようとする試みが報告されている。これらの量子制御を実現するにあたって、原子分子の波動関数がどれだけ長い間コヒーレンス(可干渉性)を保持できるかが重要となる。したがって、コヒーレンスが失われてゆく過程-デコヒーレンス(位相緩和)-の機構やダイナミクスの解明、さらにはその抑制を目指す。
    ペリレン/γ-CD系をはじめとして、アントラセン誘導体/β-CD系においてナノキャビティ包接効果によって、電子状態の分子波動関数が保護され、電子位相緩和時間が延びることを見出した。この保護効果発現にはCDキャビティとゲスト分子の空隙をを埋めるスペーサー分子が必須であり、スペーサー分子として、アルコール・ケトン類が有効であることを見出した。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 20550001
  • 溶液中多原子分子の余剰振動エネルギー緩和
    科学研究費助成事業 特定領域研究
    2007年 - 2007年
    佐藤 信一郎
    溶液中における光励起分子の振動緩和過程の研究は、光化学反応制御や溶液構造・ダイナミクスとの関連において非常に重要な研究課題である。溶液中の多原子分子の振動緩和過程では、分子内振動再分配(IVR)と分子間振動エネルギー移動(VET)とが時間的に重なり、両者が競合する領域を持った複雑な過程である。我々はこれまで、ペリレン等の多環芳香族分子のVERについて研究をおこなってきた。多環芳香族分子は溶液中においても,吸収・発光スペクトルが比較的シャープであり,振動プログレッションが明瞭であることに着目し,時間分解発光スペクトルをフランクコンドン(FC)解析することで溶液中多原子分子系の実験としては報告例が非常に少ないstate-to-stateのポピュレーション解析に成功している。
    近年、溶液中での振動緩和過程の研究において、IVRにはサブピコ秒のタイムスケールで起こるfast IVRと、ピコ秒領域のslow IVRの2つが存在することが見出されている。このslow IVRはVETとタイムスケールが接近しており、溶質-溶媒間の弾性的な相互作用により影響を受けるsolvent-assisted IVR(SA-IVR)であると考えられている1,2。本研究では、このSA-IVRについて、溶媒のどのような性質が影響を与えているか詳細を明らかにするため、ペリレンのフェムト秒からピコ秒領域における余剰振動エネルギー緩和過程に対する溶媒効果について蛍光アップコンバージョン法により調べた。
    日本学術振興会, 特定領域研究, 北海道大学, 19029001
  • レーザー波形整形と量子ホログラフィによる分子波動関数の制御と可視化
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    2005年 - 2007年
    佐藤 信一郎
    波形整形レーザーパルスにより,分子波動関数の時間発展および光化学反応の制御をおこなうとともに,光学位相制御した参照パルスとの量子干渉(量子ホログラフィ)により,波動関数の時間発展の可視化をすることが本研究の目的である.
    超短パルスレーザー光と分子の相互作用により生成される電子励起波束の時間発展は,用いるレーザー波形に依存して変化する.その主たる理由は,励起波束を構成する波動関数の重ねあわせの重み係数の振幅と位相が変化するためである.しかし,通常の分光法では重み係数の振幅は決定できても,位相まで決定することは出来ない.量子ホログラフィでは,参照パルスにより励起された波束との干渉により,位相まで決定することが可能である.
    研究の途上で、位相の乱れる速度(デコヒーレンス速度)と環境との関係に興味が移り、シクロデキストリンナノキャビティ中での波動関数の位相保護の研究を主としておこなった。また、振動波動関数の位相情報取得のためにラマン誘起カー効果分光(RIKES)装置の開発をおこなった。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 17350001
  • 強光子場における光化学反応の量子コヒーレンスと反応制御
    科学研究費助成事業 特定領域研究
    2003年 - 2003年
    山崎 巌; 佐藤 信一郎
    本研究の目的は(1)分子配列系光化学反応における量子コヒーレンスの問題を、レーザー光強度との関連において調べ「分子配列系コヒーレント光化学」を実験的理論的に確立すること、(2)反応量子位相制御による反応の制御を確立することである。本年度の研究成果は次の通りである。
    (1)コヒーレント励起子伝搬を示す新しい分子配列系の発見
    これまでアントラセン、ペリレンなどの分子二量体について、相互作用によって分裂した2つの状態を超短パルスレーザーでコヒーレントに励起することによって、蛍光異方性減衰のうえに量子ビートが現れることを見い出し、これが量子系の時間発展において2つの状態の間で回帰振動によるものであることを確かめた。本年度はサイズの大きなポルフィリンデンドリマーについて、同様な量子ビートが見い出され、これらの結果は、分子系におけるコヒーレント光化学反応のはじめての観測として位置付けられる。
    (2)液晶光変調器を用いた位相ロック2重レーザーパルス照射法による量子干渉測定装置の完成
    液晶光変調器を用いて、2つのレーザー光の相対位相を可変にして、かつ高い精度で固定化し、自動制御機構をふくめた干渉計測装置を新たに製作した。その結果、アト秒時間領域にまで、レーザー光位相が保障され、分子二量体およびポルフィリンデンドリマーにおける反応の位相干渉効果を観測することができ、また2重パルスの光の位相を変えることにより、反応制御の動作を確認することができた。
    日本学術振興会, 特定領域研究, 北海道大学, 15035201
  • 電子・励起子伝搬の量子位相制御による光演算分子素子
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    2002年 - 2003年
    山崎 巌; 西村 賢宣; 秋本 誠志; 佐藤 信一郎
    反応分子が接近した分子配列系では、分子間に強い相互作用が働き、励起移動や電子移動などの光化学過程が量子論的な波動の伝搬として超高速コヒーレント過程として起る。光化学反応が量子位相が保たれた状態で進行し、この位相干渉を利用すると反応が打ち消されたり強めたりることができて、反応の制御が可能になるとともに、励起レーザモードに依存する論理演算系をつくることができる。本研究においては次のような成果をあげることができた。
    (1)分子配列系におけるコヒーレント光化学反応の確立
    アントラセン、ペリレンなどの分子二量体およびポルフィリンデンドリマーについて、相互作用によって分裂した2つの状態を超短パルスレーザーでコヒーレントに励起することによって、蛍光異方性減衰のうえに量子ビートが現れることを見い出し、これが量子系の時間発展において2つの状態の間で回帰振動によるものであることを確かめた。これらの結果は、分子系におけるコヒーレント光化学反応のはじめての観測として位置付けられ、理論的にも量子波束の運動に関して明確になった。
    (2)位相ロック2重レーザーパルス照射法による光スイッチング素子への展開
    コヒーレント光化学反応を演算素子へ展開するために、位相を固定した2重レーザーパルス照射の装置を完成させ、分子二量体およびポルフィリンデンドリマーにおける反応の位相干渉効果を観測することができ、2重パルスの光の位相を変えることにより、光スイッチング動作を確認することができた。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 14350448
  • 位相ロックダブルパルスレーザー励起法による凝縮系エネルギー移動反応の制御
    科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    2002年 - 2003年
    佐藤 信一郎
    1)マイケルソン干渉計により分割したふたつのフェムト秒レーザーパルスの相対光学位相角を波長以下の精度で制御した光学装置を組みあげた。ダブルパルスを粉末もしくはTHF溶液中の連結アントラセンダイマーやデンドリマー分子等のエネルギー移動反応する超分子系に照射し、生成した励起状態波束の量子干渉を測定することに成功した。これはレーザー光子場によって励起ポテンシャル上での分子励起波束の制御が出来たということである。このような量子制御は気相分子や半導体井戸においては成功例があるものの、溶液粉末状の凝縮系分子では世界的に始めての成功例である。
    Sato, S.Nishimura, Y.Sakata,Y.Yamazaki,I.,J-Phys.Chem.A,107,10019-10025(2003).
    (2)凝縮系エネルギー移動反応は、分子内振動再分配や溶媒への振動エネルギー移動などの振動緩和と競合する過程である。振動エネルギー緩和は励起波束の量子位相を乱す過程であるため、本格的に凝縮系での量子エネルギー移動反応制御を目指す上で、振動エネルギー緩和の機構を解明し、更には抑制法を見出す研究は必要不可欠である。この目的のために、フェムト秒蛍光アップコンバージョン法による時間分解蛍光スペクトル測定とフランクコンドン解析を組み合わせた、振動緩和途上の振動準位のポピュレーション解析法を考案し、THF溶液中のペリレン分子、テトラセン分子等に適用した。この研究により、振動モード内熱平衡過程と振動モード間熱平衡過程の速度が異なることをはじめて実験的に見出した。
    Kasajima, T.,Akimoto, S.,Sato, S.,Ymazaki,I.,Chem.Phys.Lett.,375,227-232(2003).
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 14540461
  • 分子連鎖配列系におけるコヒーレント光化学の計測と理論的研究
    科学研究費助成事業 特定領域研究(B)
    1999年 - 2001年
    山崎 巌; 佐藤 信一郎; 大田 信廣; 住 斉; 秋本 誠志; 西村 賢宣
    人工および生体系の分子配列系で起こるコヒーレント光化学を実証しその機構を解明した。
    (1)コヒーレント光化学の実験的な検証に成功(世界初)3種の分子配列系、ジチアアントラセノファン、アントラセン二量体、ペリレン二量体(大須賀グループにより合成)について、超短パルスレーザーにより励起予伝搬にともなう量子ビートを観測することに成功し、さらに時間遅延をもつ2つのパルス照射による蛍光量子干渉計測装置によって、同様な量子干渉パターンを観測することに成功した。この実験結果は、化学反応が量子位相制御できることを示すものであり、次の目標である量子演算素子の構築の基礎を与えるものである。現在Nature誌に投稿準備中。
    (2)コヒーレント光化学反応の電場効果 一連の1次元ポルフィリン(最大126個)アレー(大須賀グループにより合成)に関して、吸収および発光スペクトルとその電場効果を測定し、光励起に伴ってコヒーレントな電子移動反応が起こり、大きな導電性が生まれることを明らかにした。
    (3)光合成反応中心のコヒーレント励起子伝達の解明 光合成アンテナ系クロリン環の励起エネルギー伝搬について、コヒーレント励起子伝搬の新しい理論、および電子伝達系のコヒーレンスを考慮した新しい理論を完成し、その合理性が国際的に認められつつある。
    日本学術振興会, 特定領域研究(B), 北海道大学, 11223203
  • 巨大電子雲に覆われた分子のダイナミクス
    科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    1999年 - 2000年
    佐藤 信一郎; 渡邊 一雄
    近年,主量子数の非常に大きい(n【greater than or equal】100)高リュードベリ状態(以下、超高リュードベリ状態)のダイナミクスが注目されている。ゼロ運動エネルギーパルス電場イオン化(ZEKE-PFI)光電子分光法では、パルスレーザー励起で生成した超高リュードベリ状態を数マイクロ秒後に、パルス電場によりイオン化検出する。これは超高リュードベリ状態が、かなり安定であることに基づいている。しかし、この超高リュードベリ状態の長寿命は低リュードベリ状態の寿命をもとにn^3則で予測される値よりはるかに長く、その長寿命化の機構に興味がもたれている。現在、提案されているモデルは大きくわけて二つあり、(1)シュタルク効果または分子間衝突による角運動量状態(l,m_l)のmixingモデル、(2)イオンコア内部自由度(振動、回転)とリュードベリ電子とのエネルギー交換モデルがある。エネルギー交換モデルでのみ期待される大きな特長として、リュードベリ状態の時間減衰曲線中に立ち上がり成分が存在することが挙げられる。本研究ではこの立ち上がり成分を直接観測する新しい実験手法を提唱した。
    即ち地、我われは,イオンコアと超高リュードベリ電子のエネルギー交換の様子を観測するために「Sweep-off-Probeパルス電場イオン化法」を考案した。この方法では,先ず最初の電場(F_1)により光励起で生成した超高リュードベリ電子を除去する。続いて2番目の電場(F_2F_1を印加してからF_2を印加するまでの時間を走査し、ZEKE電子シグナル強度を時間分解測定した。F_2の強さを固定しF_1の強さを変化させて測定したところ、F_1>F_2の場合にもシグナルが検出できることを初めて見いだした。これはF_1で除去された高リュードベリ状態が再び生成していることを示す。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 11640520
  • 1.光化学反応のアト秒量子位相制御
    1999年
    競争的資金
  • 1.Attoseconds Quantum Control of Photochemical Reactions
    1999年
    競争的資金
  • 孤立分子系コヒーレント超高リュードベリ状態のパルス電場による寿命制御
    科学研究費助成事業 奨励研究(A)
    1997年 - 1998年
    佐藤 信一郎
    本研究課題は、ナノ秒パルスレーザーによる共鳴多光子励起で生成したコヒーレシトな超高リュードベリ状態の寿命を、パルス電場をもちいて制御するための基礎的な実験をおこなうことを目的として開始された。任意波形パルス電場発生装置の開発をおこない、それを用いてNO分子等の小分子およびベンゼン等多原子系を対象として、超高リュードベリ状態の寿命のパルス電場依存性、イオン濃度依存性等を詳細に調べた。その結果、ベンゼン誘導体等の多原子分子系では振動回転状態の異なるリュードベリ系列間での遷移がNO分子等の小分子系と比べて顕著に起こることが新にみいだされた。この原因として振動準位密度および回転準位密度が関係していると予想されるが、低振動モードの振動数の異なるベンゼン誘導体についてリュードベリ系列間遷移を調べたところ、ほとんど差がみられないことから主に回転準位密度が関係していることが示唆された。
    日本学術振興会, 奨励研究(A), 岡崎国立共同研究機構, 09740421
  • 二段階パルス電場イオン化検出による質量選別しきいイオン分光法の開発
    科学研究費助成事業 奨励研究(A)
    1996年 - 1996年
    佐藤 信一郎
    申請者らは、ゼロ運動エネルギー(ZEro Kinetic Energy,ZEKE)光電子分光法と呼ばれる、新しい超高分解能レーザー光電子分光法を用いて、超音速ジェット冷却された分子の断熱イオン化ポテンシャルの精密決定や、分子カチオンの構造研究をおこなっている。ZEKE光電子分光法の原理は、超音速ジェット中で極低温に冷却された気相分子を、パルスレーザー光により、イオン化状態より数cm^<-1>低波数側に存在する高リュードベリ状態に共鳴多光子励起し、その後、レーザーパルス照射から数マイクロ秒後にパルス電場により、高リュードベリ電子をパルス電場イオン化(Pulsed Field Ionization,PFI)するとともに電子増倍管へ導くものである。このために、ZEKE光電子分光法は、ZEKE-PFI分光法と呼ばれることも多い。
    質量選別しきいイオン(Mass Analyzed Threshold Ion,MATI)分光法とは、ZEKE-PFI分光法において検出されるPFI電子にかわって、電場イオン化により生成したイオン(PFIイオン)を検出する分光法である。MATI分光法の最大の利点は、飛行時間法などにより質量選別した後、PFIイオンを検出することにより、超音速ジェット中で生成する質量のことなる分子クラスターを選別して検出することが可能であることである。PFIイオンを検出する上で問題となるのは、イオンは電子にくらべて質量が格段に重いために、運動エネルギーをもったイオンとPFIイオンを分離するのに困難をともなうことである。この点を解決するために、申請者らはパルス電場を2つ用いる二段階パルス電場イオン化(2PFI)法を考案した。2PFI法では、レーザー励起直後に第一のパルス電場を引加し運動エネルギーイオンをイオン化点より移動させ、遅延時間をおいた後、第二のパルス電場によりPFIイオンを集める方式をとっている。これにより、短い遅延時間で高感度にPFIイオンを検出することが可能となった。
    日本学術振興会, 奨励研究(A), 北陸先端科学技術大学院大学, 08740456
  • 多数の基本的かつ重要な有機分子の断熱イオン化ポテンシャルの精密決定
    科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    1994年 - 1996年
    木村 克美; 佐藤 信一郎; 中谷 久之
    本研究では、一連の基本的かつ重要な有機化合物を取り上げ、試料分子を超音速ジェット中で極低温に冷却するとともに、パルスレーザーを用いて多光子共鳴イオン化によって発生するゼロエネルギー光電子を検出し、レーザー波長の関数として高分解能光電子スペクトルの測定を行ってきた。測定した分子は、種々のベンゼン置換体(トルエン、エチルベンゼン、n-プロピルベンゼン、フロロベンゼン、ベンゾニトリル、アニソール等)および簡単な多環芳香属化合物(ナフタリン、インドール、アズレン等)である。これらの分子はアルゴンジェット中でアルゴン原子が1、2個付着したファンデルワールス錯体が形成されるので、それについても測定に成功した。その結果、それぞれ精密な断熱イオン化ポテンシャルの値やカチオンの振動準位が詳しくわかり、アルゴンとの結合エネルギーの情報やファンデルワールス振動数は吸着の問題と関連して重要である。当初計画した一連の実験および解析はすべて終了した。これらの成果は国際誌に10報の論文として発表することができた(このうち7報はすでに掲載されている.残り3報は現在印刷中である.)
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 北陸先端科学技術大学院大学, 06640648
  • 3次非線形ラマン分光法による溶液中分子の高電子励起状態の研究
    科学研究費助成事業 奨励研究(A)
    1995年 - 1995年
    佐藤 信一郎
    本研究は分子を基低電子状態においたまま、電子励起状態の振動スペクトルを測定することを目的としている。その手段として、3次非線形ラマン分光法に着目し、本年度は、その装置の立ち上げに着手した。3次非線形ラマン分光装置は、大きく(1)光源、(2)光学系、(3)試料循環系、(4)散乱光検出系、(5)データ処理系の5つの部分にわけられる。光源については、2台の色素レーザーの励起するために用いているNd:YAGレーザーの2倍波および3倍波をそれぞれ1:1に分割するビームスプリッタを購入し、非線形ラマン分光実験に必要な分子振動の振動数程度離れた波長可変のレーザー光が得られるようにセッティングをした。試料循環系については、ペリスタロティックポンプ、フローセルからなる試料循環装置を構築した。散乱光検出系については必要な光学部品の購入をおこない、現在、組立中である。今後、チトクロームc等のサンプルについてテスト実験をおこなう。また本研究と相補的な、ポンプ・プローブ法によるポルフィリン電子励起状態の共鳴ラマン測定もおこなった。
    日本学術振興会, 奨励研究(A), 北陸先端科学技術大学院大学, 07740455